「荒野行動」「第五人格」×「越境EC」の関係とは?

2017年に「俺を倒したい?じゃあ荒野行動しようよ」と、キャッチ―なフレーズで一躍有名となったスマホアプリ「荒野行動」・現在は根強いファンが多いホラー映画とのコラボを続け、映画の中の殺人鬼を実際に操作することができる「Dead by Daylight(通称DBD)」をリリースしているカナダのゲーム会社「Behaviour Interactive」が開発に協力している「第五人格」と、インターネットで商品を販売する「越境EC」とはどのような関係があるのかご存知でしょうか。

近年、海外ではゲーム会社だけがゲームやアプリをリリースするのではなく別分野のIT企業が本格参入していることも珍しくありません。

「荒野行動」の運営もゲーム会社ではなく、越境ECサイト(Kaola.com(網易考拉/ワンイーカオラ/ネットイースコアラ))が運営しています。



先日、ご紹介した日本語入力キーワードアプリも中国検索サイトを運営する会社が運営しています。

「スマホ日本語入力キーボード「Shimeji(シメジ)」を開発・運営する「中国大手検索サイト百度(Baidu/バイドゥ)」とは

Kaola.com(網易考拉/ワンイーカオラ/ネットイースコアラが一体どういう会社なのかチェックしてみましょう。

■ネットイース(網易)とは?

ネットイーストは中国のIT企業です。現在ではオンラインゲームやECサイトが有名ですが、もともとはポータルサイト「網易」を運営しており、テンセント、sina、SOHUと合わせて「中国4大ポータルサイト」と呼ばれています。その他にも、フリーメールサービス、検索ポータルサイト「有道(Youdao)」の提供でも知られる企業で、2010年代には大学のオンライン公開講座「网易公开课」やアプリ「網易ニュース」をリリースしています。2017年に日本支社を設立しましたが、それ以前からKaola.com(ネットイースコアラ)は日本の大手企業との業務提携や戦略提携を行ってきました。日本国内ではゲーム部門の網易娯楽株式会社と、Kaola.com(ネットイースコアラ)を運営するネットイース子会社のHQG Ltd(网易环球购有限公司/網易環球購有限公司)の支社であるHQG Japan株式会社の2社が、100%子会社として事業を展開しています。

■ネットイースのゲーム業界における存在感

ネットイース(網易)は2001年からオンラインゲームの運営を開始しています。スマホが登場する前はPCオンラインゲームでユーザーを獲得していましたが、現在はモバイルゲームが主力産業です。2018年の中国ゲーム市場は中国政府の規制や市場自体の成熟があり、成長率は20%以下とも言われています。こうした業界に逆風の吹く中、ネットイースが日本でもリリースした「荒野行動」は、日本国内でも大ヒットとなりました。こうした成功もあり、同社のオンラインゲーム事業は年間の成長率は10.7%増となっています。2019年5月には、中国初の公式ポケモンゲームであるモバイルゲームの「ポケモンクエスト」を発売日未定で販売することを発表しました。またこのほか年に5~6本のモバイルゲームの発売を目指して、マーベルとも提携契約を結んでいます。オンラインゲームの過去のヒット作には、西遊記を題材にして大人気となった「夢幻西遊」やアクションRPGの「天下」などがありますが、2017年の「陰陽師」や昨年リリースした「荒野行動」は日本でもヒットしたため認知している人も多いでしょう。最近広告されている「第五人格」もネットイースによる開発、運営です。オンラインゲームでは、スマホゲーム、パソコン用クライアントゲームの両方を手掛けています。中国国内のゲームプレイヤー数のシェアでは、世界最大のゲーム会社でもあるテンセントが圧倒的で51.6%となっていますが、ネットイースは13.5%で2位であり、3位のPerfectWorldのシェア2.3%と大きく差をつけています。(2017年第3四半期データより)

■子会社の越境ECプラットフォームKaola.com(網易考拉/ワンイーカオラ)とは?

子会社のHQG Ltd(网易环球购有限公司/網易環球購有限公司)が運営する越境ECプラットフォームであるKaola.com(網易考拉/ワンイーカオラ)は、中国の越境EC市場で急成長を遂げている、直販型ECサイトです。品揃えが豊富で低価格、高品質ということでユーザーから高い評価を得ています。楽天や花王、小林製薬といったインバウンドに注力する日本の著名企業がすでに提携を始めており、そのほか韓国やオーストラリア、ヨーロッパ各国やアメリカなどその数は数百以上にも登ります。

■中国における越境EC市場シェア、ナンバーワン

中国EC業界では、EC2強のアリババと京東(ジンドン)市場のかなりのシェアを占めていますが、越境EC市場では小紅書(RED)や唯品会(VIP)、そしてネットイースのKaola.com(網易考拉/ワンイーカオラ)など、消費者のニーズに合わせていくつものサービスがそれぞれシェアをとっています。Kaola.com(ワンイーカオラ)はネットイース(網易)の子会社により、2015年に開設されました。品揃えの豊富さ、質の高い商品がそろっているとユーザーに好評で、ある調査によれば越境ECのマーケットシェアは24.2%です。同調査によればEC業界トップのアリババ「Tmallグローバル」(天猫国際)は20.3%であり、Kaola.com(ワンイーカオラ)は越境ECの分野ではかなりのシェアを占めているということが分かります。日本製品も多く取り扱っており、取引を結んでいる日本企業が多いのも特徴です。

■中国国内向けEC「Yanxuan」(网易严选/網易厳選/ワンイーイエンシュエン)も

ネットイースはKaola.com(網易考拉/ワンイーカオラ)に続いて、中国国内生産の商品を販売するECサイト「Yanxuan」(网易严选/網易厳選/ワンイーイエンシュエン)を開設しています。無印良品感のような雰囲気があり、「Adidasや無印良品の製造を手掛けた実績」などを売りにした生産会社が、ブランド名をはずした良い品を安く提供することをコンセプトとしています。

■Kaola.com(網易考拉/ワンイーカオラ)と提携し業績を伸ばす日本企業の事例

Kaola.comは多くの日本企業が提携しています。実際に業績を伸ばしている日本企業の事例について詳しく見ていきましょう。
1. 楽天株式会社とKaola.com(網易考拉/ワンイーカオラ)の提携楽天市場は2016年にKaola.comと業務提携を開始しました。Kaola.com内に楽天市場の旗艦店を出店し、日本の商品を販売しています。EC店舗で取り扱う日本の各ブランドは、ネットイースの運営しているメディアで紹介され、中国国内へ向けてプロモーションされています。
2. ドラッグストアキリン堂がKaola.com(網易考拉/ワンイーカオラ)に旗艦店を出店ドラッグストアキリン堂は2017年にKaola.comと提携し、旗艦店を出店しました。ドラッグストアキリン堂は関西を中心に出店しているドラッグストアで、Kaola.comの旗艦店では主に医薬品や化粧品の販売をしています。キリン堂は2014年にもアリババグループが運営する「Tmallグローバル」(天猫国際)にも日本のドラッグストアとして初めて出店しており、積極的に海外展開を図る同社が選んだとありKaola.comへの期待の高さがうかがえます。

出典:訪日ラボ (最終閲覧日:2019年6月12日)
https://honichi.com/news/2019/06/10/chinaxnetease/

■まとめ■

既に日本企業とも提携しているKaola.com。
海外では、実はAなのにBにも携わっている。というようなケースが増えているのでインバウンドや越境ECの情報を追うことも大事ですが、少し視点を変えてみるのも重要な発見に繋がるので常にアンテナを張っておく必要はあります。
今後、このような異業種のカテゴリーを同時運営する企業がどのように日本越境EC含めインバウンドにどのような影響を与えてくかは未知数と言えます。今から動向に注目したいところです。

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