「大阪らしさ」とは?関西のインバウンド潮流を読み取る

 訪日観光客であふれる大阪。実はその人気は東京や京都といった観光都市をもしのぐ勢いとか。今、大阪にやってくる訪日韓国客が何を求めてやってくるのかを知ることで、今後のインバウンドの対策の流れを読み解くことができる。

  訪日観光客が今こぞって訪れているのが大阪です。観光庁が昨年発表した2018年4月から6月にかけての「訪日外国人消費動向調査」によると、インバウンド観光客が一番多く訪問しているのは東京でもなく京都でもなく大阪でした(訪問率ベースで大阪府41.8%、東京都41.6%、千葉県34.1%の順でTOP3)。

 訪日観光客の実に4割が大阪を訪れると言うのですからその人気は明らかです。そこで気になるのが外国人観光客たちは一体大阪で何をしているのか?大阪のどこに魅力を感じているのか?と言うことです。中でも大阪の中心地・梅田がなぜインバウンド観光客たちに選ばれるのか、一体どこが人気スポットなのかに注目してみましょう。

【大阪は訪日観光客にとって外せないスポット】
◆インバウンドの伸び率は世界第3位◆
 2018年にMastercardから発表された海外市場に関するデータによると、2009年から2017年の間にインバウンド観光客の伸び率が高かった都市では1,2,3位を日本が独占しました。 大阪は第3位の23.6%と目覚ましい成長を遂げています。インバウンド観光客たちにとって大阪は「今、訪れたい都市」と言えます。訪日外国人の半数近くが大阪を訪れることからもその人気の高さが分かります。
 少し前までインバウンド観光客たちが訪れる日本の都道府県と言えば東京、京都、北海道、沖縄がメインでした。
 今、大阪が人気観光都市として名乗りを上げている理由としては、2012年に関西国際空港にLCCが就航したこと、その関西国際空港から都市部までが近いこと、京都や奈良と言った日本の文化を残した観光地が近いこと、など環境的な要因もあります。しかし一番大きなものは大阪観光局主導で行われている

・無料のWi-Fiの充実
・多言語への対応
・観光スポットの再整備
・夜の大阪を楽しんでもらう企画づくり

など府を上げてインバウンド客を取り込もうという努力が数年前から行われていると言うこと。 大阪に来て大阪を楽しんでほしい、そのためには何が必要なのか?それを考え実行してきた大阪の取り組みが実を結びつつあると言うことです。

◆ほかの地域と違う大阪らしさを求めている◆
 大阪と言う都市は他の日本とは全く違う雰囲気を持っています。整然とした街並み、ゴミひとつない路上などももちろん日本の魅力の一つではありますが、大阪はもっと「ラフ」。それは中心地梅田でも同じことです。
 天神橋筋商店街を歩いていると「どこから来たん?」と話しかけられたり、困っている外国人に「どこに行きたいん」と話しかける大阪人は少なくありません。このようなラフな雰囲気に加え、大阪の街を一望できる梅田スカイビルの人気スポット「空中庭園」や大阪のシンボルでもある「大阪市中央公会堂」へのアクセスも良く、大阪に来たと実感できることが人気の理由です。
 また、地元で愛されてきた「お初天神」や「難波神明社」などの社寺も街中に佇む現代と歴史の混じり合った独特の「大阪らしさ」がインバウンド観光客たちが大阪に求めているものであり、大阪が唯一無二の都市である所以でしょう。

◆大阪・梅田が世界一の観光都市になるために◆
 大阪・梅田エリアはまだまだ成長を続けています。2025年に再び大阪万博が開かれることが決まり、インバウンド観光客の数はますます増加していくことが予想されます。駅周辺の再開発も進み、これからはショッピングを目的とした外国人観光客たちの目にも梅田が魅力的に映ることでしょう。
 大阪・梅田エリアが外国人観光客たちを惹き付ける世界一の観光都市になるためには、ただの都会にはならず大阪らしい少し無秩序な雰囲気を残すこと、人懐こい大阪の人々との触れ合いが重要です。現代の巨大なビル群が立ち並び現代風の生活をしているのかと思いきや、そこでは今でも昔ながらの生活が垣間見える、そんな大阪であることが大阪・梅田がインバウンド観光客を惹きつけ続けるために必要なことです。
 「大阪らしさ」を残し、その魅力を存分に世界に発信して行くことで、日本への2回目、3回目の訪問を促すきっかけにもなるでしょう。外国人観光客の持つ「真面目で秩序のある」日本のイメージを良い意味で裏切ってくれる大阪・梅田。梅田の街全体がきれいである必要も、新しい必要もありません。東南アジアの観光人気都市にも通じるような、何でもありの雰囲気と気の良い人々が作り出す「大阪らしさ」がキーワードです。


出典:訪日ラボ (最終閲覧日:2019年5月15日)
https://honichi.com/news/2019/05/15/inboundosakaumeda/

まとめ
 キーワードは「大阪らしさ」。つまり、日本らしいものをすでに知っている訪日外国人の興味関心はその日本らしいものの中でも「大阪」という特定の地域に興味関心を持っているということを意味します。Wi-Fiや表示の多言語化など、インフラ的な環境を整えた次の段階として、各企業が各自の色を出していくことだ。大阪だけでなく、ほかの関西各地も自分の色を出していくことが、訪日外国人が目的地としての選択肢を増やし、日本を東京、京都だけでない多様な文化を持った国としての魅力を引き立てることにつながるのだ。

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