インバウンドの重要なデータベース「観光庁」と「JNTO」。インバウンド対策の参考にしているところも多いのではないでしょうか。名前は知っているけどどのような団体なのか。一体いつから活動し何のためにデータを取っているのか。どこでデータを取っているか。など詳細をご存知でしょうか。この2つのデータ情報発信元を知ることで、今までに何となく参考にしていたデータにもより興味を持ち生かすことができるのではないでしょうか。
■観光庁とJNTOの違いは?
まず、観光庁とJNTOのそれぞれの役割と違いについて解説していきます。
■観光庁とは?
観光庁は2008年に発足した国土交通省の外局の一つです。「観光立国」の実現に向けて、魅力ある観光資源の発掘や活用、インバウンド振興を行っています。
外国政府や関係省庁との調整、民間事業者や自治体との連携強化などに取り組むとともに、日本全体を見渡して、総合的な観光計画を作成しています。
■JNTOとは?
JNTOは「Japan National Tourism Organization」の略で、正式名称は「独立行政法人 国際観光振興機構」です。通称「日本政府観光局」と呼ばれています。
独立行政法人とは、元々政府の事業だったものが、効率的な運営のために分離されたものです。
東京オリンピックが開催された1964年に設立され、長年、インバウンド集客に取り組んできた日本政府の公的なインバウンド専門機関です。
世界各国に海外事務所を設置し、外国人旅行者の誘致活動のためのプロモーションやマーケティングなどのインバウンド施策を行なっています。
■二つの違いは?
では観光庁とJNTOの違いはどこにあるのでしょうか。
観光庁は政府直属の機関です。「観光立国」に向け、総合的な視点から取り組みを行なっています。
一方のJNTO(日本政府観光客)は観光庁所管の独立行政法人となっています。海外に観光宣伝事務所を設置し、観光客に対する観光案内や日本の観光情報の発信など現地の外国人に対して直接的なプロモーションを行ないます。
JNTOは観光庁の実動部隊です。JNTOがプロモーションの中で得た情報は、観光庁を通じて蓄積、分析されます。こうした情報は、日本の観光施策の企画・立案の基礎になっています。
■JNTOの活動とは?
続いて世界各地に多くの事務所を構え、プロモーションを行うJNTOの具体的な活動について解説していきます。
海外事務所
JNTOはヨーロッパやアジアを中心に21ヶ所の海外事務所を構えています。いずれの海外事務所も実動的な役割を担っています。世界各国との熾烈な観光客獲得競争の中、「訪日旅行の魅力」について日々発信を行なっています。
■海外事務所の活動
JNTOの海外事務所でのプロモーション事業の具体例を見ていきます。
JNTOは海外メディアの訪日取材や番組制作を支援し、日本の魅力を発信しています。また、各国で人気のあるテレビや新聞、雑誌を通じて、観光地としての日本の認知度を上昇させ、訪日需要を喚起する広告事業を実施しています。
カナダメディアによる沖縄・竹富島でのVTR撮影や、中国メディアを招待しての組みひも体験などが過去の実施例です。
他にも、JNTOはSNSやウェブサイトを通じた訪日旅行の情報発信、デジタルマーケティングも行なっています。14言語でウェブサイトを作成、そして21市場向けにFacebook、11市場向けにInstagram、中国向けに微博でのプロモーションを行っています。
■インバウンド対策に活用できる観光庁・JNTOのデータとその見方は?
より大きな効果を得るためには、確かなデータに基づいてインバウンド対策を行うことが重要です。
そこで役立つのが観光庁・JNTOのデータです。政府直属の機関である観光庁、そして観光庁所管の機関であるJNTOのデータには信頼性があります。
ここでは、インバウンド施策に活用できる両者のデータと活用方法に関して解説していきます。
1.訪日外客数
JNTOが公開するデータには、訪日外国人客数に関するものがあります。JNTOの公式ウェブサイトから、国ごとの訪日外国人の数が、月別、年別で確認できます。
訪日客数の伸び率も確認できるようになっており、どの国が今、ホットなのかを分析できるようになっています。
2.旅行消費額などの観光統計データ
JNTOの発表する観光統計データには、訪日旅行客の旅行中の消費額もあります。
宿泊・交通・飲食・娯楽など項目別に消費額の内訳がわかるようになっており、消費額が多い国・地域を調べることもできるようになっています。
さらには旅マエ、旅ナカ、旅アトで訪日旅行者が使うメディアの情報も提供しています。
観光白書は、観光庁が起草・編集する年度ごとの日本の観光状況や政府の観光分野での政策、来年度以降の政策予定を示した刊行物です。
政府主導で毎年発行されるため、情報の鮮度が高いだけでなく、統計データの信頼性が担保されています。
4.活用方法は?
これまでに紹介したデータでは、国別の情報を確認することができます。各国からどれだけの訪日客数があり、どれだけの旅行消費額があるのかがわかるので、これらのデータを訪日客数や旅行消費額が多い国向けの対応に活用することができます。
他にも訪日旅行者がよく使うメディアの情報もあり、ガイドブックを利用する人が多い国、SNSを使う人が多い国など国別の傾向を掴んだ上で、マーケティングに活かせるでしょう。
訪日ラボ: (最終閲覧日:2019年5月20日)
https://honichi.com/news/2019/05/20/jnto/
まとめ
政府管轄で運営されていると思いがちな2社ですが、管轄が異なることはもちろんのこと国内での連携と海外での日本情報発信と大きく異なる運用方法ということが理解できたのではないでしょうか。データベースでは今までの情報はもちろんのこと、「観光白書」では今後の予想も見ることができます。どこの何が注目されるのかこれ以上に参考になる資料はないといっても過言ではないでしょう。これかも大きな伸びを見せるであろうインバウンド事業。その中で確実なインバウンド集客を行うには国内外の正しい情報を見極めるのが第一条件と言えるでしょう。
インバウンド基礎知識
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