海外の動向に見るインバウンド事業の分水嶺!

 東京オリンピックの開催が決定された2013年時1千万人ほどだった訪日外国人は、2018年には3倍の3千万人を突破した。とりわけ、中国人訪日旅行者数はその中でも昨年8千3百万人とその数は突出している。東京では2020年の東京オリンピック開催まで500日を切り、いよいよインバウンド業界も熱を持ち始めている。

 しかしながら、中国人観光客が市場をにぎわすのは何も日本だけではない。オーストラリアでも中国人観光客が現地の大企業や現地政府を動かすほど大きなインパクトを持っているという。


 2019年3月8日、観察者網は豪紙「ブリスベンタイムズ」の報道を引用し、「オーストラリアが500万オーストラリアドル(約4億円)をかけて中国人を呼び込むための宣伝を行う」と伝えた。記事では、「オーストラリアは安全。無料WiFiは少ないがぜひ来てほしい」と述べられている。

 記事は、オーストラリアは政治的な影響を避けるため、今週から中国の街中の看板や地下鉄の駅で観光客誘致のための大々的な宣伝活動を始めたことを紹介。

 記事は、「この宣伝にはオーストラリア政府観光局が328万オーストラリアドル(約2億6000万円)を、その他の178万オーストラリアドル(約1億4000万円)はオーストラリア航空などが拠出した」と紹介。

 記事によると、同国のサイモン・バーミンガム(Simon・Birmingham)貿易・旅行・観光・投資相は「オーストラリアは中国の旅行客にとって魅力的。われわれは新しい方法で引き続き中国市場を引き付けなくてはならない」とし、「過去10年間で、若い個人旅行客が増えた。個人旅行客の滞在時間は団体客の約3倍。オーストラリアの奥地へ行ってもらえる良い機会だ。滞在時間の長さは観光地以外の場所へも足を運べるかどうかを左右する」と述べたという。

 一方で記事は、オーストラリア観光調査局が公表した報告書の中で、「中国人観光客にとってオーストラリアの奥地を旅行するのに障害となるもの」として1位は時間、2位が費用であることと同時に、中国社会では「オーストラリアの奥地へ行くのは危険」という認識を持たれているとわかったことを紹介。
しかし記事は、「奥地へ行くので最も懸念されているのは『無料WiFi』が少ないことである」と指摘。

 その上で、「中国のミレニアル世代(1982年から2000年までの間に生まれた人)の半分はSNSを利用しており、WiFiがなければリアルタイムで旅行の体験をシェアすることができない。オーストラリアに無料WiFiが少ないことは一つの大きな障害になっている」と分析。


出典元:Record China (最終閲覧日:2019年04月1日)
https://www.recordchina.co.jp/b693595-s0-c30-d0145.html

まとめ

海外旅行において現地の状況をつぶさに家族や友人に伝えることが旅を楽しくする大きな要因に違いない。現地の「危険」以上に観光客の足を遠のかせる原因として「無料WiFi」が少ないことを挙げているのはそれも一因あるだろうが、それ以上に、初めて来た土地で語学が通じないとなれば、通信環境が何よりの「生命線」となっているという現代社会における証左といえる。オーストラリアの田舎とは違う通信環境が整った日本の都市部では、SNSを始めとしたWebによるインバウンド対策は必須となっている。

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