インバウンド対策!中国人篇① 富裕層のニーズとは?

 日本のインバウンド需要が伸び続けているのは周知の事実である。とりわけ、中国人観光客は14億近い人口とこれから先増加が見込めるというポテンシャルが魅力の理由の一つだ。それは訪日外国人の筆頭に挙げられる韓国人と比較するとより顕著となる。韓国は現時点で訪日外国人の中では最大のボリューム層を占めているが、人口は5200万人とどちらに伸びしろがあるかは明白だ。ところが、数字の上では大きな数があったとしても、その数の中には多種多様な人々が混在している。今シリーズでは訪日外国人のニーズを理解し、今後その大きな伸びしろが集客に繋げるためのヒントを提供したい。

訪日中国人富裕層のこだわりとは?
 彼らのいちばんのこだわりは、間違いなくグルメだ。昔から中国人は「美味」を好む。貧困時代を乗り越え、経済状況がよくなった時期の最初の象徴は食卓だった。食べきれないほどの料理でおもてなしするのが、中国人ならではの流儀で、食べきれる量しかないということは貧乏くさい、ケチっぽいという意識を持っている人も多い。
 海外旅行では、西洋料理などを楽しみにミシュランの星付きレストランに行くが、不慣れな食材や調味料が多く、必ずしも口に合わないことも事実である。
 しかし、日本料理は違う。同じアジアなので、食材や好みが近い。また、中国ないし世界中に日本料理ブームがあり、どこに行っても日本料理店(中国語だと「日料」(リーリョウーと読む)があちこちにある。ただ日本以外の国にある日本料理店はとにかく高価だ。
 余談になるが、筆者が「焼肉 牛角」を初めて食べたのは数年前のニューヨークだった。高級日本料理として在米中国人やニューヨークで話題になり、予約するだけでも大変だった。飲み物を注文しなくても1人当たり1万円以上かかった。そんな高級料理の印象が強かったが、日本に留学したら、どこでもあるとてもリーズナブルなお店だと知ったときは大きな衝撃を受けたものだ。
 牛角だけでなく、「ラーメン 一蘭」「大戸屋」など日本のチェーン店から、本格懐石和食まで海外におけるブランディングが上手だったので、「日本レストラン=高い」というイメージが世界中で醸成された。中国国内でも同様で、店員もお客も日本人がいない懐石料理店では、1人当たり2万~3万円が普通。日本人料理人が仕切るところだと、1人当たり5万円であっても予約でいっぱいなのだ。
 したがって、「高級」なイメージのある日本料理の本場に来たら、何より楽しみたいのは、日本食だ。「寿司」「和牛」「懐石料理」などは有名なので、ぜひ本場の味、本当の高級グルメを楽しんでみたい気持ちが強い。値段についても寛容で、「いちばんいいものを出してくれたらOK」という考えである。


出典:東洋経済ONLINE (最終閲覧日:2019年5月8日)
https://toyokeizai.net/articles/-/276138

まとめ
 富裕層の訪日中国人観光客が日本に期待するもの…その中でも重要な位置を占めるのが“食”であることが分かる。「一蘭」「大戸屋」の例ではないが、海外と日本とでは同じ製品やブランドでも異なるイメージを抱いていることも多いのだ。日本人の顧客をこれまで相手にしてきた会社や店舗がインバウンドでの集客を伸ばすにはそういった海外からの目線をしっかりと把握していくことが大切だ。その上で、SNSをはじめとするツールを活用して「欲している人」に「求めている情報」を提供することがインバウンド対策の肝である。

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