日本でもこれから忙しくなる「お中元」の季節が近づいていますが、「お中元」の由来をご存知でしょうか。
贈り物を贈るのは日本独自の文化ですが、きっかけとなった行事は中国の「中元節」が発祥となっています。
「中元節」では中国でも祝日となります。ですが、この日は旅行などをするのは好ましくないと考えられています。この季節をどのように過ごすのか、中国の風習を知ることも集客への一歩なのでこの機会に「中元節」だけではなく「三元」についても詳しく知っていきましょう。
■中元節とは?
出典:訪日ラボ (最終閲覧日:2019年6月12日)
中元節とは、中元に行われる中国の伝統行事です。日本にも「お中元」という言葉がありますが、これは中国の中元節からきています。中元の起源は道教の三元と呼ばれる思想です。三元とは、上元(旧暦正月15日)・中元(同7月15日)・下元(同10月15日)でありそれぞれが神様の誕生を祝う日です。中元は、冥界の帝と言われている地官大帝の生誕祭となります。
■伝統行事、中元の由来は?
日本への伝来は?7月15日は地獄の扉が開き、死者の霊魂が赦される日だと言い伝えられるようになりました。中元節のある7月を指して「鬼月」と呼ぶこともあります。「鬼」は中国語では幽霊を意味します。またこの日は仏教の「盂蘭盆会(うらぼんえ)」(いわゆるお盆)とも重なっています。7月15日はこの二つの行事が習合(異なる神々や宗教的教義が同一化すること)し、一体化した状態で日本にも伝わってきました。
■中秋節との違い
中元節とよく似た字面の「中秋節」は、三大節句と言われる伝統行事のの一つで、3,000年もの歴史があります。残りの2つは旧暦1月1日の春節、旧暦5月5日の端午節です。中秋節では、月見をしたり、月餅を食べたりするのが伝統となります。こうした中秋節の風習は、中国の皇帝が8月15日に豊作を祈り、音楽を奏でるなどして月に祈りを捧げたことから始まりました。時が経つにつれ、一般市民にもこうした風習が広まったとされています。
■中元節にまつわる風習とは?
中元節は、地獄の門が開くことで悪霊が周囲をさまよう時期とも考えられています。こうした悪霊を鎮めて送り返すために僧侶を呼び、お祓いをしてもらったり、自宅にお供え物を並べるのが風習です。季節の贈答ととらえられている日本のお中元の贈り物も、もとは懺悔や謝罪の意味を込めて行われていたそうです。お供え物には、霊魂たち、そして先祖の霊たちが、死後の世界で衣食に困ることなく、そして子孫を守ってくれるよう、お願いする意味が込められています。この一連の儀式を個人で行うものは「私普」、廟や寺などで行う場合は「公普」と呼ばれます。
■中元節の名物「灯篭(とうろう)流し」
中元節では、お墓参りをした後、灯篭に火を灯し、死者が帰る道を照らします。
上元節でも灯籠を灯しますが、中元の灯篭とは異なります。上元の灯篭は地上で灯すのに対し、中元の灯篭は川に流します。
その背景には、陰陽の思想があります。
陰陽の世界では、人は陽、陸は陽、水は陰となります。昔の人々は、水は神秘的で暗く、死者の魂は水底にあると考えていました。
こうした考えに基づき、中元では灯篭を川に流して、死者の魂に「陽の世界へ導く明かり」を提供します。陰の世界から陽の世界への道は暗いため、明かりがなければ道は見つけられず、死者がただしい経路を見つけられないだろうという考えに基づく風習です。
中元節の風習「線香」と「金紙」そして忌事
お供え物には、提灯の他に、線香を焚きます。線香は霊が迷わないための道しるべとしての意味があります。
線香を焚く他に、霊が死後の世界でお金に困らないようにと、「金紙」と呼ばれるお札も燃やします。
中元節の期間中、引っ越し・結婚・入籍・旅行などは好ましくないと考えられています。夜は出かけないことが良く、洗濯物を干したり、椅子を外に置いたりするのも良くないとされています。こうした忌事(いみごと、避けるべきこと)は、死者の霊が椅子に座ってしまう、洗濯物を着てしまう、それにより良くないことが起きる、という思想に基づきます。
■中元節と日本のお盆の違いとは?
古来中国では、中元節と同じ日(旧暦7月15日)に、「盂蘭盆会(うらぼんえ)」という先祖供養の仏教行事も行われてきました。日本にはこの道教・仏教の二つの行事が習合して伝わりましたが、後に親戚が集まって祖先の霊を供養するお盆行事として定着しました。さらに日本では、江戸時代以降、お盆の時期に恩人へ贈り物をする風習が広まるようになりました。その起源の一説は、上述した通りです。
■中国では家を重んずる
中国では、「家」を重んずる文化があり、中元においても家単位で行います。一方で、日本の灯篭流しは、死者の霊を慰めるために行われてきましたが、こうした不特定多数のための慰霊は、中国では公的なもの以外はほとんど行われません。これは中国は「家」単位の社会であるということを裏付けています。
■贈り物の意味の変化
中元節はお盆の行事などとともに日本に伝わりますが、江戸時代からお盆に供物などの贈り物をする習慣が生まれました。お中元は元々、贈り物をすることで懺悔や贖罪という意味を表していましたが、時代が変わるにつれ「お中元」と言えば「夏の贈り物」ということを意味するようになっていきました。今ではお世話になった人への感謝の気持ちとして根付いています。
https://honichi.com/news/2019/06/12/chinesetraditional/
■まとめ■
この行事では中国人の根底にある「陰陽」の考え方、「家」を重んじることが色濃く残っているのがよくわかる内容となっています。
このことより、日本で一定期間を楽しんで過ごすだけではなく、その時期に合わせたアイテムを選び自国に持って帰ってもらう。というような、いつもと変わったアプローチをすることも重要と考えられます。
このように、文化を知ることでどのようにプランを組むのかなど大変参考になりますので、是非今後も各国のイベントも参考にすることをインバウンド事業・外国人集客でとても重要となります。